インプラント症例報告vol.13 サイナスリフト同時インプラント埋入
上顎臼歯部の上方には上顎洞という空間が存在するため、抜歯後に歯槽骨が吸収してしまうと、インプラント埋入するための十分な骨の高さが不足してしまいます。今回は、「サイナスリフト(上顎洞底挙上術)」といい、上顎洞粘膜を挙上させ、そのスペースに骨補填材を充填して骨の高さを増生する手術を併用しながらインプラント埋入を行った症例を供覧いたします。サイナスリフトには、「クレスタル(歯槽頂)アプローチ」と「ラテラル(側方)アプローチ」の二種類があり、本症例は基本術式である「ラテラルアプローチ」となります。他にも「ソケットリフト」という骨を槌打して垂直的に挙上を図る術式もあり、症例によって双方を使い分けております。「サイナスリフト」を提供している歯科医院も見られますが、副鼻腔炎等の合併症のリスクもあるため、耳鼻科領域の知識やCT等による上顎洞全域の術前の診断に加え、熟練した口腔外科手術経験のある歯科医院での提供が望ましいと考えます。サイナスリフト提供に注意を要する患者さんとして、副鼻腔炎の既往がある、糖尿病、抗血栓薬内服中、喫煙、CPAP装着中、重度の鼻中隔弯曲症などが該当します。以上参考にしていただければ幸いです。