インプラント症例報告vol.13 サイナスリフト同時インプラント埋入

上顎臼歯部の上方には上顎洞という空間が存在するため、抜歯後に歯槽骨が吸収してしまうと、インプラント埋入するための十分な骨の高さが不足してしまいます。今回は、「サイナスリフト(上顎洞底挙上術)」といい、上顎洞粘膜を挙上させ、そのスペースに骨補填材を充填して骨の高さを増生する手術を併用しながらインプラント埋入を行った症例を供覧いたします。サイナスリフトには、「クレスタル(歯槽頂)アプローチ」と「ラテラル(側方)アプローチ」の二種類があり、本症例は基本術式である「ラテラルアプローチ」となります。他にも「ソケットリフト」という骨を槌打して垂直的に挙上を図る術式もあり、症例によって双方を使い分けております。「サイナスリフト」を提供している歯科医院も見られますが、副鼻腔炎等の合併症のリスクもあるため、耳鼻科領域の知識やCT等による上顎洞全域の術前の診断に加え、熟練した口腔外科手術経験のある歯科医院での提供が望ましいと考えます。サイナスリフト提供に注意を要する患者さんとして、副鼻腔炎の既往がある、糖尿病、抗血栓薬内服中、喫煙、CPAP装着中、重度の鼻中隔弯曲症などが該当します。以上参考にしていただければ幸いです。

 

 

インプラント症例報告vol.12 抜歯即時インプラント埋入(臼歯部ブリッジ)

60代女性。かかりつけ医にて左下臼歯部ブリッジ支台の歯根破折を指摘され、抜歯したら義歯になると言われ、インプラントを希望され来院。通常はまず抜歯を行い、骨が再生してからインプラント埋入手術を行うのが一般的です。しかし、インプラント埋入まで約半年(早くても4か月程度)待機が必要となり、噛めない期間が長期にわたります。今回は「抜歯即時インプラント埋入」といい、抜歯と同時にインプラントを埋入し、治療期間の短縮と骨吸収の抑制を図っております。本症例では抜歯後にインプラントの仮歯が入るまで約3か月となっております。最終的にはジルコニアという硬いセラミックが装着されております。インプラント埋入時にドリル方向を固定するための専用マウスピース「サージカルガイド」を必ず使用する医院もあると思いますが、ガイド料金は患者さんの負担となります。当院は、特殊なケースを除き、シミュレーションソフトでイメ―ジ画像を作製し、フリーハンドで埋入手術を行っておりますので、術者の技能や精度の担保を理由に余分な費用の負担をさせることはなるべくないようにしています。

インプラントを検討中だけど、とりあえずかかりつけ医で抜歯を予定している方はいらっしゃいますか?本症例のように抜歯と同時にインプラント埋入できるケースもありますので、お悩みの方は一度抜歯前にご相談されることをお勧めいたします。

6月からインプラント料金を変更します(ご検討中の方は是非今月中に!)

当院で使用しているストローマン社*インプラント材料の値上げに伴い、6月以降から関連材料を使用する処置に関して料金を一部変更(値上げ)させていただきます。何卒ご理解のほど宜しくお願い致します。5月まではこれまでのお見積りでご提示しますので、お悩みの方は今月中の来院をお勧めします。すでに見積もりを提示している方に関しては、その額でご提供しますのでご安心ください。

*ストローマンはスイス製で、歴史、材質性能、長期予後など、数あるインプラントブランドの中で最も優れた実績を誇ります。流通している廉価ブランドとは異なり、仮に他県に移住し10年後にトラブルになったときに、対応できる歯科医院が少ない、パーツが廃盤になって修理できないなどのトラブルも少ないブランドです。